吉田嘉七

汝が兄はここを墓とし定むれば はろばろと離れたる国なれど 妹よ、遠しとは汝は思うまじ。 さらば告げん、この島は海のはて 極まれば燃ゆべき花も無し。 山青くよみの色、海青くよみのいろ。 火を噴けど、しかすがに青褪めし、 ここにして秘められし憤り。 のちの世に掘り出なば、汝は知らん、 あざやかに紅の血のいろを。 妹よ、汝が兄の胸の血のいろを。